コラム

能力を最大限に引き出すための合理的配慮

今回ご紹介する記事は以下になります。

モルガン・スタンレー、診断の有無問わず合理的配慮を提供
HumanCapital ONLINE(日経BP)_20250507より
https://project.nikkeibp.co.jp/HumanCapital/atcl/column/00084/040700028/

本記事を取り上げたのは、「合理的配慮」という言葉が現場でどのように解釈・実践されているのかを深く掘り下げることが、組織の多様性推進や人材育成のあり方を再考するうえで非常に重要だと感じたからです。

特に、モルガン・スタンレーの取り組みには、単なる制度整備を超えた本質的な支援の思想が随所に見られ、多くの示唆を与えてくれますので、私なりに印象に残った言葉を引用しつつ感想を述べたいと思います。

この一文には、合理的配慮の本質が凝縮されていると感じました。

障害のある社員への対応が「甘やかし」や「特別扱い」と誤解されることも少なくありませんが、この言葉が示すように、合理的配慮とは「パフォーマンスを最大限に発揮するための支援」であり、全ての社員が持つ“働く権利”と“成果を出す可能性”を保障するものであると理解できます。

企業がその本質を正しく理解し、制度として根づかせていることに、モルガン・スタンレーの真摯な姿勢を強く感じました。

この考え方も、非常に印象的でした。

日本においては、「障害者手帳の有無」や「医師の診断があるかどうか」によって制度利用の可否が決まることが多く、その線引きが支援の有無を決定してしまいがちです。

しかし、モルガン・スタンレーはその前提を根本から見直し、「困りごとがあるかどうか」に着目しています。

つまり、診断や証明よりも、実際に直面している“困難さ”に対応することを優先する姿勢です。

このアプローチこそが、本当に人を見て支えるという、人材育成の核であると強く感じました。

「配慮」という言葉には、時として“特別待遇”という誤解がつきまといます。

しかしこの表現によって、「配慮」はすべての社員が公平に力を発揮できるようにする“スタートラインの調整”であることが明確になります。

能力を持ちながら、環境や人間関係の不一致によって力を出し切れない方々が少なからず存在する今、こうした「土台作り」こそが人材活用の要であると考えさせられます。

企業がこのように明確な姿勢を示すことは、従業員にとって非常に安心感につながります。

合理的配慮は、「受けるべき権利」であると同時に、「提供するべき責任」でもあります。

企業が迷いなく支援に踏み出すことで、声を上げることに躊躇していた人々の背中を押す効果も大いにあると感じました。

この取り組みからは、モルガン・スタンレーが“心理的安全性”をいかに重視しているかが伝わってきます。

配慮を得るには自己開示が必要という構造は、当事者にとって非常に大きなハードルとなる場合があります。

そうした中で、ガイドの存在は不安を軽減し、誰もが安心して自分の状況を伝えられるための有効な手段となります。

声を上げやすい環境が整っていることこそが、人材を生かす企業文化の土台だと強く感じました。

この指摘には、支援の本質が“医療機関”ではなく“職場”にあるという重要な視点が込められていると感じます。

医師の診断が支援のきっかけとなることはあっても、それだけで問題が解決するわけではありません。

職場での理解や制度、周囲の関わり方といった“日々の環境”の中にこそ、困難を乗り越えるカギがあるのです。この現場主義の姿勢に、企業としての責任感と具体的な実行力を感じました。

合理的配慮が“特別な措置”ではなく“組織文化の一部”となるには、継続的な意識づけが欠かせません。

その意味で、モルガン・スタンレーの啓発活動の継続は、単なる制度整備以上に意義ある取り組みだと感じます。

社員一人ひとりが多様性を「他人ごと」ではなく「自分ごと」として捉えることにより、本当の意味でのインクルーシブな組織が形成されていくのだと実感しました。

この部分では、悪意のない“ラベリング”の危険性が的確に指摘されていました。

言葉の認知が進む一方で、それが安易な決めつけや分類に繋がるリスクもあることを忘れてはなりません。

「診断がないとサポートできない」という考えではなく、「困りごとがあるからサポートする」という順番を企業として明確に定義している点に、深い敬意を抱きました。

モルガン・スタンレーの取り組みは、障がいの有無にかかわらず、すべての社員が自分の強みを発揮できる環境づくりに貢献しています。

合理的配慮とは、誰か特定の人のための特別対応ではなく、組織全体の力を最大化するための“仕組み”であり、“文化”であるということを改めて実感しました。

人はそれぞれ異なる背景や特性を持ち、ときに困難を抱えます。

だからこそ、“標準化された対応”ではなく、“個別に寄り添う仕組み”が求められる時代になってきていると感じます。

その第一歩は、「違いに気づき、受け入れ、共に働く」という価値観を、組織の中に自然に根づかせていくことだと思います。

株式会社白石設計&サスケグループ
サスケ業務推進事業部
三浦秀章
HIDEAKI MIURA

36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。

41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。

これからの目標・夢

障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと。

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