コラム

人の親切心(=バリアフリー)を実感できた旅

皆さん、GWはいかがお過ごしでしたでしょうか?

私は、昨年3月に緊急事態宣言延長により、泣く泣く断念していたお伊勢参りに行ってきました。

私自身は小さい頃に一度家族旅行で行ったことがあるのですが、妻は全くの初めてでまた今年がちょうど銀婚式ということもあり、その意味合いも兼ねて伊勢神宮~夫婦岩~鳥羽水族館などを巡ってみました。
 

車いすで伊勢神宮に参拝はできたのか

 
そこでまず気になるのは、伊勢神宮のような昔からある寺社仏閣で参拝は可能なのかどうかです。

地元の氏神神社でさえ手前の石段を上がることが出来ず、いつも妻にお賽銭を代わりに投げてもらって、階段下から拝むといったようなことをしていたので、伊勢神宮のような大きい規模のところでは行ける範囲に限界があると思っていました。

実際に調べてみると、やはり天照大御神様が祀られている内宮のほうは、正宮の手前で二十五段の石段があるとのことでした。(外宮のほうは、正宮手前に石段はなく車いすで参拝可能)

あともう一つの問題は、内宮、外宮ともに参道はかなりの距離を移動するのですが、地面はすべて玉砂利で敷き詰められているため、自前の車いすだと移動がしんどいのとタイヤが傷んでしまうという問題もありました。

当初は、入口付近(宇治橋手前)で私は待機し、せめて妻だけでも参拝できたらと思っていたのですが、色々調べているうちに専用の電動式車いすを無料で貸し出してくれることがわかったのです。

しかもあきらめていた内宮の正宮参拝に関しても、実は救世主が存在していたのです!
 

伊勢おもてなしヘルパー参上!!

 
調べてみると、伊勢市とNPO伊勢志摩バリアフリーツアーセンターさんなどが協働で構築した有償ボランティア「伊勢おもてなしヘルパー」という仕組みがあることがわかったのです。

これはもうお願いするしかないということで、迷わずに事前申し込み(10日前までに)をしました。

そして当日、宇治橋付近で待ち合わせすると、背中に「伊勢おもてなしヘルパー」と書かれた白い袖なし法被を着た三名の方が専用の電動車いす「WHILL」を持参して現れました。

年齢は60代の方がお二人、70代の方がお一人でした。
最初に挨拶した段階で、すぐその人となりが理解できました。

やはりこうした神域でボランティアヘルパーを志願されるだけあって、素晴らしい人柄の方ばかりであることに妙に納得したものです。

参道を行く道中は、終始柔和な様子でいたる所で丁寧な説明をしていただき、そのガイドに引き込まれていたせいかメインの正宮まであっという間に到達しました。

そして眼前には、事前に写真などで何度も見ていた天照大御神様が鎮座されている正宮手前の石段が立ちはだかっていました。
 

人の親切心(=バリアフリー)を実感できた旅

 
石段手前のところで「WHILL」から自身の車いすに乗り換えて、いよいよヘルパーさんの最大の見せ場がやってきました。

一段ずつゆっくりと段差を乗り越える要領で3人のヘルパーさんに上げてもらい、最上部の七段は石段の奥行きが狭いため、妻も加えて4人がかりで一気につり上げてもらいました。

そして、目の前には当初拝み見ることをあきらめていた正宮が厳然とたたずんでいました。

ここではお願いごとではなく、日頃の感謝をお伝えしました。

同時にヘルパーさんにあらためて感謝の気持ちをお伝えしました。

天気もよく、普段とは全く違う清々しい空気を吸いながら、さっきのぼってきたその下を見下ろしました。

 
もう、感動という言葉しか出ませんでした。

 
この後も別宮をひとつひとつ丁寧にガイドしていただき、最初の待ち合わせ場所に戻ったときには、1時間半が経っていました。

そんなにかかったのかと思うくらい充実したひとときでした。

 
この旅行を通じて、いたるところで多くの方の親切心に触れ合うことができました。

見ず知らずの人であっても、私を見て多くの方から「何か手伝いましょうか」という声をかけていただき、その優しさにたくさん助けられました。

バリアフリーとは、人の親切心によっても実現するんだということを深く感じた旅でした。
 

就労移行支援 サスケ・アカデミー本部  本部広報/職業指導員
三浦秀章
HIDEAKI MIURA
36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。
41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。
これからの目標・夢
障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと

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