個人的な話になりますが、今年はGWに九州方面へ、夏には東京へと旅行に行きました。
以前のコロナ禍の状況からは考えられないほど、至る所に外国人の方が溢れていたのが非常に印象に残っています。
いまや近年の円安も相まって空前のインバウンド需要となっていますが、今回は障がいのある外国人を対象に日本に関するイメージ調査アンケートをしたという記事を取り上げてみました。
障害者の訪日旅行、課題多く 車椅子で移動困難 混雑イメージも評価下げ(トラベルジャーナルオンライン_2024.12.09)
まずこのタイトルからもわかりますように、現状の日本は観光立国とはなっているものの、まだまだ障がいのある方に対しての課題があることが伺えます。
これは記事の最後にも触れられていますように、母国との相対的な評価の部分もあると思います。
そこで、課題とされているそれぞれのポイントについてひとつひとつ取り上げ、日本の車いすユーザーの一人として私見も加味しつつ考察をしていきたいと思います。
①“「寺や庭など車椅子で行けない所が多い」”
これについてはやむを得ないところがありますね。
私の地元の氏神神社については数段の石段があるため、毎回初詣のときは周囲の方々に声をかけさせてもらって、3~4人で担ぎ挙げてもらっている状況です。
ちなみにこのブログでも以前取り上げた伊勢神宮(※参照:人の親切心(=バリアフリー)を実感できた旅)は、おもてなしヘルバーさんのおかげでなんとか長い階段を上がることが出来ました。
後はお城ですが、大阪城のようにエレベーターまで備え付けているところはあまりない印象で、私だけ門のところで待ち続けたということもありました。
②“大浴場や温泉は車椅子で入れない”
ここも障がいのある外国人の見解とほぼ同じ受け止め方です。
そもそも私の場合は温泉旅行的な発想自体を止めてしまっているところもあるので知らないだけかもしれません。
もしかしたら車いすでも入れる温泉宿はけっこうあるのかもしれませんが、仮にそういう対応ができたとしても、入浴行為は当人も周りもたいへんなイメージがありますね。
では私は旅先でどうしているのかというと、宿泊のホテルで完全バリアフリーの部屋を予約して、部屋の浴室を利用するようにしています。
ただ今後はもっと調べて、温泉にも挑戦をしていきたいですね。(さすがに砂むし温泉は無理でしょうが笑)
またそういった体験ができたときは、ぜひお伝え出来ればと思います。
③“電車は車椅子では乗れない”
これは完全に違うと言い切れます。
電車の乗る機会が圧倒的に多いのは東京だと思いますが、改札のところで駅員にお願いをすれば、次の到着駅まで連絡を入れてもらって、乗り降りの対応をすべてやってもらうことが可能です。
乗り降りの際には、簡易式スロープを手早く敷いてくれるので、何の抵抗もなくスムーズです。
あと余談ですが、私の場合はお尻の褥瘡再発が常に課題なのですが、愛媛から東京まで新幹線での約5時間の道中座り続けるのはかなりの負担があります。
そこでJRさんに相談したところ、なんと多目的室を貸し切りにしていただけるということがわかりました。
多目的室の中にあるソファはベッドに変形できるタイプなので、岡山から東京までの約3時間強の間は、ずっと横になったまま移動ができたのです。
同じ事情で悩んでいる人がいるようでしたら、ぜひ相談をしてみてください。
④“宿泊施設のアクセシブルルームの不足”
先ほど、宿泊ホテルのバリアフリールームのことについて触れましたが、どこのホテルにもあるのかというとそうではありません。
あったとしても、数自体が少なく1~2室しかないため、早めに予約を入れないと取れないという印象があります。
結局は、同じ障がいを抱えた人同士での取り合いの状況になってしまうので、将来的にはすべての客室がバリアフリー化したホテルがたくさんできることを願いたいですね。
⑤“観光地の足場の悪さ”
これは、①の話に関連する部分ですが、車いすの場合は例えば日本特有の砂利などではなかなか一人で漕ぐのはかなりの労力を要します。
私の場合は妻との旅行となるのでなんとかなっているのですが、ひとりで旅行をされる方にとっては、相当なストレスにつながりますね。
また急こう配の道も多いので、事実上諦めないといけない場面も多々あります。
以上5つの課題点について、私なりの体験を基に言及をさせていただきました。
確かに日本の観光においての課題も多いという論調ではあるのですが、決してネガティブな話だけではありません。
“一方、親切にしてくれる人が多いことや無料で使えるトイレの多さ、乗車時に駅員が手助けしてくれることへの評価は高く、情報発信を充実させていく必要がある。”
こちらの文面にもありますように、日本人の国民性の良さとして、非常に親切な人が多いのも事実です。
私も旅先で幾度となくお手伝いしましょうかという声をかけられ、その度に人の親切心に触れ、心が洗われるような体験をさせていただいています。
障がいがある身だからこそ気づけたのかもしれませんので、このことはぜひ皆さんにも声を大にしてお伝えしたいです。
最後にまとめますと、車いすの人がもっと自由にいろんなところに行くための環境整備はもちろん必要ですが、それを補って余りあるほどの親切心によってカバーできる国、それが日本なのだと思います。
ですので、普段旅行をすることにためらいがある方も、多少のハンデを吹き飛ばしてどんどん積極的にいろんなところに行きましょう!!
きっと素敵な体験が出来ると思います。
36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。
41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。
これからの目標・夢
障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと。