コラム

統計数字から見える障がい者雇用の課題

今回は厚生労働省が2025年12月に発表した「令和7年障害者雇用状況の集計結果」から読み取れることを整理し、これからの障がい者雇用の課題について考察したいと思います。

まず、民間企業で働く障がい者の数が70万4610人に達し、22年連続で過去最多を更新したという結果は、障がい者の社会参加が拡大していることを示す重要な指標であり、喜ばしい成果だと感じました。

特に精神障がい者の雇用者数が大幅に増加している点は、障害の種類に対する理解が進み、就労支援体制や職場環境が多様なニーズに応じたものに変わりつつあることを感じ取れました。

精神障害は、見た目では分かりにくいがゆえに理解や支援が難しいとされてきた側面がありましたが、職場での理解促進や合理的配慮が少しずつ浸透した成果の一端と受け止めることができます。

しかしながら、冷静に統計を見渡すと、希望だけでは語れない現実が存在していることも明らかです。

統計によれば、法定雇用率(民間企業の場合2.5%)を達成している企業の割合はわずか46%にとどまっており、企業の半数以上がまだ法定雇用率を満たしていないという厳しい状況が続いています。

これは、障がい者雇用が進んでいる企業がある一方で、多くの企業が十分な受け入れ体制を整えられていないことを示しており、数字の裏側にある構造的な課題を如実に表しています。

またこの統計からは、企業の規模や業種によって雇用の実態に大きな差があることも推測されます。

大企業では比較的障がい者雇用が進んでいる一方で、中小企業では人材確保や職場環境整備に困難を抱えている例が多いと考えられます。

実際、中小企業の実雇用率が法定雇用率に達していないケースが目立つという報告もあり、企業規模による格差が障がい者雇用の進展に影響を及ぼしている可能性があります。

法定雇用率が達成できない企業が多い背景には、障がい者を雇用する上でのコストや支援体制の整備が不十分であることが挙げられます。

障がい者雇用は単に人数を増やすだけではなく、長期的に働き続けられるような職場環境や支援が不可欠です。

合理的配慮の提供、業務内容の適正化、職場の理解促進といった仕組みづくりは、人手不足が深刻な時代にあって企業にとって大きな負担となることも事実です。

また、障がい者本人にとっても「仕事に就くこと」はゴールではなく、安定した収入やキャリア形成、職場での居場所の確保といった多面的な課題があります。

このことを考えると、統計の数字だけでは浮かび上がってこない「定着」や「質」の側面にも光を当てる必要があると感じます。

さらに、今後の法制度の方向性も注目すべき点です。

現在の法定雇用率は2026年7月から2.7%へ引き上げられる予定であり、この改正は企業に対してより高い雇用責任を求めるものです。

今後は企業が単に雇用数を確保するだけでなく、どのようにして障がい者が活躍できる職場をつくるかという観点が一層重視されることが求められます。

このような法制度の強化は、障がい者雇用の拡大につながる一方で、企業側にとっては更なる負担増となることも懸念されます。

特に中小企業では、障がい者雇用のノウハウや支援体制が十分でないケースが多く、外部の支援機関や専門家、行政との連携を強化することが急務となっています。

企業が法定雇用率を単なる達成目標として捉えるのではなく、企業文化の一部としてインクルーシブな職場づくりを進めることが重要です。

今回の記事を通じて感じたことは、障害者雇用が「進んできた」という実感と同時に、「まだ道半ばである」という現実です。

数字は確かに前進を示していますが、法定雇用率の達成企業が半数に満たない現状から目を背けず、より実効性のある支援策や教育、社会全体の意識改革を進めていく必要があると痛感しました。

株式会社白石設計&サスケグループ
サスケ業務推進事業部
三浦秀章
HIDEAKI MIURA

36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。

41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。

これからの目標・夢

障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと。

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