アカデミー活動報告

新居浜

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ナイトオブシェルヴスⅠ

 

草木も眠る夜。静かであらゆる置物が微動だにしないはずの部屋で、談笑するものが二人。

「やっと寝たな」

「今日はどうやら、夜更かしの気分であったようだ」

寝ている青年の部屋には、十二体のぬいぐるみが置かれている。イヌ、ペンギン、アニメの美少女キャラクター等レパートリーが多い。彼らは主人が眠った後や外出中、いつも楽しく遊んでいる。

十体のぬいぐるみたちが遊びに夢中になっている中、ある二体のぬいぐるみは定位置の棚で動かずにいた。

「今日のゲーム番はナイトオブランスロットか」

「卿は昨晩楽しめたか? ナイトオブベディヴィア」

「おれがゲーム下手なの知っているだろ? 全然進まなかった。まあ、楽しかったけどさあ」

「なら良いではないか」

「そう、明日は卿の番じゃないか、ナイトオブガウェイン」

「ああ、そろそろ終わりそうだ」

ネコのベディヴィアとサボテンのガウェインはとりわけ仲が良く、常に共にいる。ゲーム番でないぬいぐるみたちは麻雀やチェス、トレーディングカード等に夢中であるが、この二体は談笑して夜を明かすことが多い。

隣同士に置かれたことがきっかけで、二人は話すようになった。それからは毎晩のように、こうして自分の考えや思いを語り合っている。

「しかしまあ、我らが王はクリアしたゲームをすぐ売る……」

「まったくだ。私もやりこみたかったというのに」

そう、王は基本的にやり終わったゲームは直ぐに売ってしまう。ゲームが得意なぬいぐるみは早解きをして王よりも早くクリアするが、そうでないぬいぐるみは最後までプレイできずにいる。

そのことに不満を持つものもいた。しかし、ぬいぐるみの宿命で、そのことを王に抗議することはできない。自分たちが命と意思を持っているという事実を人間に知られてはけないという、誰が決めたのかわからないルールを守らなければならないのだ。

「ナイトオブガウェイン、卿はまだいいだろ、エンディングを見れたんだから。おれなんてクリアすらしてないぞ」

「いっそ、声明でも出すか」

つづく

 

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