コラム

幻覚や妄想よりも難しい?統合失調症の陰性症状とは?

幻覚や妄想よりも難しい?統合失調症の陰性症状とは?

統合失調症と聞くと、現実的でない妄想にとらわれたり、知らない人の幻聴が聞こえたりと恐ろしい病気というイメージが強いかもしれません。
しかし、妄想や幻聴以外の陰性症状と呼ばれる症状の方が、回復の妨げになるケースが多いのです。

今回は、あまり目立たない統合失調症の陰性症状について解説します。
正しく理解し、統合失調症の理解を深めましょう。

1 統合失調症とは?

統合失調症とは、脳の機能が原因となり、考えや感情がまとまらなくなってしまう精神疾患の1つです。
生涯のうち、統合失調症を発症する割合は、日本では人口の0.59%と言われています。
150~200人に1人が発症する病気であり、決して少ないものではありません。

統合失調症は、「自分の悪口が聞こえる」「近所の人に嫌がらせをされている」といった幻覚や妄想などの陽性症状が特徴的です。
一方で、「意欲が低下する」「感情が乏しい」といった陰性症状も統合失調症の代表的な症状だといえます。

陰性症状は、表面化しにくいために陽性症状よりも目立ちませんが、生活や仕事に大きな支障を及ぼします。
具体的にはどのような症状なのでしょうか。

参考:日本の統合失調症の最新有病率が明らかに│時事メディカル

2 統合失調症の陰性症状とは?

統合失調症の陰性症状は、陽性症状の後に起きることが多く、エネルギーが大きく低下した状態です。
そのため、「やる気がないだけなのではないか」と周囲から誤解されることも少なくありません。
具体的には、以下の4つの症状がみられます。

・感情の平板化
・意欲の減退
・思考能力の低下
・対人関係の回避

それぞれの症状について説明していきます。

2-1 感情の平板化:喜怒哀楽が乏しくなる
感情の平板化とは、感情表現が上手くできなくなり、喜怒哀楽が乏しくなる症状です。
表情や仕草に動きがなくなったり、物事や他人など周りのことに関心を示さなくなったりと反応が鈍くなります。

2-2 意欲の減退:やる気が出なくなる
意欲が湧かなくなることも陰性症状の1つです。
自発的に物事を始め、継続することが難しくなることが多いでしょう。
そのため、仕事や家事をこなす処理能力が低下し、生活に必要な物事をこなせなくなります。
また、着替えや入浴など身だしなみに気を遣わなくなることもあるでしょう。

2-3 思考能力の低下:言葉が少なくなる
陰性症状では、言葉が少なくなり人とのコミュニケーションを取りにくくなることもあります。
思考能力の低下により考えがまとまらず、豊かに表現できなくなるためです。
会話の内容が薄くなったり、話のテーマが急に飛んだりと話のキャッチボールがうまく行かなくなることがあります。

2-4 対人関係の回避:引きこもりがちになる
人との関わりを避けて自室に閉じこもったり、1日中何もしないで過ごしたりと、引きこもりのようになることもあります。
意欲や興味関心が乏しくなり、他人とのコミュニケーションが難しくなった結果として生じます。

3 陽性症状との違いは?

本来あるはずの能力が低下する陰性症状ですが、陽性症状とはどのように異なるのでしょうか。

3-1 症状が長期化しやすい
陽性症状は、数週間~数か月で落ち着く一方で、陰性症状は数か月単位で持続し、長いと回復までに数年間かかる場合もあります。
そのため、陰性症状は陽性症状に比べて長期化しやすいといえます。

周囲からすると、「激しい症状は落ち着いたけど、ずっと無気力で何もしない」と病状改善の見通しが立たず、心配になりやすいでしょう。

3-2 他の精神疾患と間違えられやすい
幻覚や妄想といった陽性症状は、周囲を驚かせるために統合失調症の症状だと気づきやすいでしょう。
一方で、意欲の減退や興味関心の乏しさといった様子は、一見するとうつ病と見分けがつきません。

そのため、陰性症状が長く持続していると、うつ病と勘違いされてしまう可能性があり、症状を正しく理解されないことがあるでしょう。

4 陰性症状の治療法

では、陰性症状はどのように治療を行い、改善していくことが望ましいのでしょうか。
陽性症状は、抗精神病薬により症状を軽減できます。
しかし、陰性症状は薬だけで完全に改善することが難しい場合が多いでしょう。

そのため、SST(社会生活技能訓練)や作業療法などの心理社会的な治療法が重要な役割を担います。

4-1 SST(社会生活技能訓練)
SSTとは、Social Skill Traningの略で、社会生活での状況に応じた振る舞いや、対人関係スキルを習得するための治療法です。
例えば、「正しい挨拶の仕方」「忙しい人への頼み方」「服薬管理」などのテーマに沿って、実際の場面を想定した練習を行います。

陰性症状により他人とうまく関われなくなるため、社会生活で受けるストレスに対処する力が低下してしまいます。
対処能力を高め、ストレスを予防し再発を防げるように訓練することがSSTの目的です。

SSTは、精神科の病院にある精神科デイケアや、就労移行支援事業所などで行われています。
興味のある方は一度探してみましょう。
4-2 作業療法
作業療法とは、絵画や散歩などのレクリエーションや、農作業や袋詰めなどの室内外での作業などを通して機能の回復を目指す治療法です。
様々なプログラムを通して、陰性症状で低下した意欲や興味、関心を回復し、充実感や達成感を取り戻すことを目指します。

また、1つの作業を行うことで集中力が向上したり、嫌な考えから注意を逸らせたりと、ストレス対処能力を高められるでしょう。

興味や関心の低下が強い場合は、何かを行うことが億劫に感じられるかもしれません。
無理に取り組もうとせずに、取り組みやすいプログラムから始めるとよいでしょう。

5 まとめ

統合失調症の陰性症状は表面化しにくいため、軽視されたり、誤解されたりと正しく理解されないことがあります。
統合失調症の方が意欲が湧かずに人との交流を避けるのは、怠けているわけではなく、陰性症状が表れているからなのです。

陰性症状の回復には、可能な範囲で自立の準備を進めることが大切です。
サスケ・アカデミーでは、統合失調症が原因で意欲が湧かないという方にも、仕事探しをサポートしています。
無料でご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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