コラム

「強迫性障害」こんな症状はないですか?

「鍵をかけたかな?」「火をつけたままかも」と、不安になって家に戻ったという経験は多くの人がしていることでしょう。
しかし、強迫性障害とは、「戸締りなどを何度も確認せずにはいられない」や「手が細菌で汚染された」という不安にかきたてられて何時間も手を洗い続けたり、肌荒れするほどアルコール消毒をくりかえしたりなど、明らかに「やりすぎ」な行為をとってしまうことです。
また、ラッキーナンバーなどの縁起への強いこだわりなど、戸締まりや火の元を何度も何度も確認しても安心できなかったり、特定の数字にこだわるあまり生活が不便になったりしている場合は、「強迫性障害」かもしれません。

1.「強迫性障害」とは

強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です。
原因は今のところわかってないようですが、脳の神経伝達に関係していると考えられているそうです。
発症の背景には、ストレスや生活環境の大きな変化があるケースが多いようです。
「強迫性障害」は、決して珍しい病気ではありません。発症年齢は10代~20代の若い時期が多く、平均すると19~20歳ですが、小児期から症状が始まるケースもあるそうです。
強迫性障害は不安障害の一種で、こころの病気であることに気づかない人も多いのですが、治療によって改善する病気です。
「せずにはいられない」「考えずにはいられない」ことで、つらくなっていたり不便を感じたりするときには、専門機関に相談してみましょう。

2.強迫性障害のサイン・症状

「強迫観念」と「強迫行為」の2つの症状があります。

「強迫観念」とは、頭から離れない考えのことで、その内容が「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができません。
「強迫行為」とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことです。
自分で「やりすぎ」「無意味」とわかっていてもやめられません。

◆不潔恐怖と洗浄
ドアノブや手すりなど不潔だと感じるものを恐れて、さわれない。汚れや細菌汚染の恐怖から過剰に手洗い、入浴、洗濯をくりかえす。

◆加害恐怖
警察や周囲の人に確認したりする。誰かに危害を加えたかもしれないという不安がこころを離れず、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認する。

◆確認行為
過剰に確認する。戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手でさわって確認するなど)。

◆儀式行為
同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない。自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安。

◆数字へのこだわり
縁起をかつぐというレベルを超えてこだわる。不吉な数字・幸運な数字に、こだわりすぎる。

◆物の配置、対称性などへのこだわり
物が必ずそうなっていないと不安になる。物の配置に一定のこだわりがある。

3.強迫性障害の治療法

強迫性障害の治療には、次の2つの療法を組み合わせるのが効果的だとされています。

◆認知行動療法
◆薬による治療
◆アドヒアランスが重要

◆認知行動療法
強迫行為をしないで我慢するという行動療法です。
たとえば、汚いと思うものをさわって手を洗わないで我慢する、留守宅が心配でも鍵をかけて外出し、施錠を確認するために戻らないで我慢する、などです。
こうした課題を続けていくと、強い不安が弱くなっていき、やがて強迫行為をしなくても済むようになると期待されているそうです。

◆薬による治療
抗うつ薬で状態を安定させてから、認知行動療法に入るのが一般的だそうです。
服用は必ず医師に相談しましょう。

◆アドヒアランスが重要
アドヒアランスとは、自身が治療方針にかかわることで、「治そう」という意欲を高めて治療効果を上げることです。
認知行動療法がつらくてイヤだと感じることもあるでしょう。
しかし、医師から十分な説明を聞き、病気や治療のことが理解できれば、必要な治療であると納得できます。
自分が不安に思うこと、治療法の希望などがあれば、医師に相談してみましょう。

4.まとめ。日常生活への支障がありませんか?

強迫性障害は、誰もが生活の中で普通にすること(戸締まりの確認や手洗いなど)の延長線上にあります。
「自分は少し神経質なだけ」なのか「もしかしたらちょっと行き過ぎか」という判断は難しいところですね。
日常生活、社会生活に影響が出たり、その結果、人間関係がうまくいかなくなります。
自分では「病気というほどひどくない」と感じていても、家族や友人など周囲の人が困っている様子なら、念のため受診を考えてください。

就労移行支援サスケアカデミーでは、一般的な働き方が難しく、就職することに悩んでいる強迫性障害の方をはじめとした身体障害・知的障害・精神障害・発達障害や難病の方に対し、自分に合った働き方を提案する支援を行っています。

まずは、お気軽にご相談ください!

厚生労働省みんなのメンタルヘルスより

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