いきなりですが、ブルームバークという企業名をお聞きしたことはありますでしょうか?
経済や金融関係の情報発信を行っている世界的な企業ですので、おそらく名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
今回はそのブルームバーグの企業サイト記事のなかで、これからの障がい者の就労支援の在り方として非常に参考となる取り組みが紹介されていましたので、ここで取り上げてみたいと思います。
社会への橋渡しとなる障害学生支援に向けて私たちができること(Bloomberg HP_2024.08.07より)
「就労支援×企業」コラボの可能性
まず記事タイトルにある「私たち」という主語は、言うまでもなくブルームバーグを指していると思うのですが、記事を読み進めて感じたのは、これは決して企業だけの意味合いではないのだということです。
障がい者就労支援団体や、障がいのある学生を送り出そうとしている大学などとの連携によって、雇用者としての責務を果たしていくことが大事だ、というブルームバークの志をこの記事から読み取ることができます。
つまり、その連携を総称した表現が「私たち」なのではないでしょうか。
ここには世界的な企業として、社会的課題でもある障がい者の就労支援に取り組む矜持が伝わってきます。
ではその取り組みとはどういったものなのか?
“ブルームバーグ東京オフィスで、2024年6月25日に株式会社エンカレッジとブルームバーグの共催イベント「1 Day Open Office」が開催されました。障害のある学生や支援者を対象に、障がい者採用のリアルを体験してもらう企業見学イベントです。昨年に引き続き、障がい者支援に取り組む社内コミュニティ「Bloomberg Abilities Community (BABLE)」 が、株式会社エンカレッジの「発達障害のある方の就労移行支援事業所エンカレッジ早稲田駅前」とコラボしました。”
上記は記事冒頭の引用ですが、障がいのある学生や支援者を対象にした企業見学イベントを開催したことに触れられています。
ここで重要なのは、ブルームバーグが就労移行支援事業所エンカレッジや大学などの支援者とコラボをしている点です。
現状、障がい者雇用が進まない理由のひとつには支援側が企業のことを十分理解されていなかったり、また逆に企業側が障がいについての理解が不十分だということがあります。
結果的に両者の間でニーズスリップが生じてしまい、障がい当事者としてはその狭間のなかで、なかなか就職に結びつかないというケースが考えられます。
このコラボイベントは、まさにその課題に対して大きなヒント、示唆を与えてくれるものではないでしょうか。
“イベントで特に注目を集めたのは、障害を抱えながらブルームバーグで働く3人の当事者たち。採用から就労までのストーリーには、職場の多様性を実現するヒントがあふれていました。”
当イベントの肝は、まさに上記引用にありますように、実際にブルームバーグで活躍している障がい当事者の生の声を聴くことが出来る点です。
これは支援者にとってもまさに生きた教科書であり、今後の支援内容へも影響を与える大きな機会とも言えます。
イベントにおいて当事者それぞれから、採用となった経緯や現在の業務内容のことまで具体的な事例が語られたわけですが、私が特に印象に残ったものが以下の引用のものになります。
“計9回の面接を経て、念願の入社が決まりました”
“YouTubeに企業の採用担当者向けに投稿した自己紹介動画がきっかけでブルームバーグに入社しました”
“自分がやりたいと思っている事も積極的に推奨していただける風通しのいい環境”
“障害は個性の一部に過ぎないとみんなが思っているので、サポートは得やすい環境が整っています”
計9回の面接というのは、まず聞いたことがないですね。
この回数が何度かの挑戦をしての通算のものかどうかまではわからないのですが、いずれにしても凄い数字です。
この数字からは本人の粘り強さもさることながら、企業側がひとりの応募者に対して真摯に対応されていることが伺えます。
YOUTUBE動画などの個人的な投稿がきっかけとなって採用に至っているケースについても、画一的なものではない寛大な採用スタンスが感じとれます。
そして、残り2つの引用からは、入社後のブルームバーグの職場環境や雰囲気の良さが想像できます。
これら当事者の発言からだけでも、ブルームバーグが障がい者にとって働きやすい会社であることがわかりますね。
そこで気になるのは、ブルームバーグが障がい者に対してどのような理念をもって採用をされているのかという企業文化の部分です。
“ブルームバーグの障がい者採用は、当事者の望ましい姿を一緒に思い描くことから始まります。そう語るのは、ダイバーシティ&インクルージョン採用を担当する高橋弦也さん。当事者の希望に沿った「キャリアコンサルタント的」な採用を目指し、受け入れる部署との細かなマッチングに力を入れています。”
“「対面面接やオフィス見学の前には、勤務先候補となる部署の人や面接官にも障害に関するレクチャーを実施します。本人のことを知ってもらうことで、働き始めた時から安心して自分のことを話せる環境が用意できるからです。重視しているのは、自ら立ち上がる力を信じて支援すること。そして支援者だけに依存する体制を脱却し、横の繋がりによってみんなで支援できる体制に整えていくことです」”
ダイバーシティ&インクルージョン採用を担当する高橋弦也さんのこれらのコメントにブルームバーグの企業文化がすべて集約されていると言えます。
「キャリアコンサルタント的」な採用プロセスは、障がい者一人一人のニーズを尊重し、働く環境とのマッチングを大切にする姿勢が伺えます。
また「自ら立ち上がる力を信じて支援すること」という言葉からは、単なる障がい者雇用の法定義務を超えた、人間としての尊厳を重んじる雇用の在り方を示しているとも言えます。
もっと言えば、このような企業文化は、障がい者だけでなく、全ての従業員にとって働きやすい職場を作り出す鍵となっているのではないかと思います。
まとめ
ブルームバーグとエンカレッジが協力して実施した「1 Day Open Office」イベントは、障がい者の就労に関する重要な情報を提供する場であるだけでなく、障がい者を含む多様な参加者が意見を交換し、理解を深めるための貴重な機会でもありました。
このような取り組みが今後も続けられることで、障がいを持つ方々の雇用環境がさらに改善され、多様性を受け入れる社会の実現に近づくと信じています。
ブルームバーグのような企業が率先してダイバーシティを推進し、成功を収めることで、他の企業も同様の取り組みを行うきっかけになるのではないでしょうか。
個々の障がい者が自立し、社会で活躍するためには、企業、支援団体、大学、そして家族が一丸となってサポートする必要があります。
この記事を読んで、多様な視点からの協力がもたらす力を信じ、私たちも障がい者支援に積極的に取り組んでいくべきだと強く感じました。
36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。
41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。
これからの目標・夢
障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと。