今回は、京都府福知山市の「障害者雇用1千人のまちプロジェクト」のニュース記事のことから取り上げてみたいと思います。
福知山市のプロジェクト
まず記事タイトルにある「障害者が働ける街へ」に惹きつけられました。
そして記事を読んでみるとさらに「障害者雇用1千人」という非常にインパクトのあるワードが出てきて、福知山市が興味深い目標を掲げていることがわかりました。
福知山市の人口は私が住んでいる新居浜市よりも少ない、約7万6千人ほどの規模の市です。
記事によると、障がい者の職員の割合が3.34%と大幅に法定雇用率を上回っており、このことからも福知山市が障がい者雇用に力を入れているということが伺えます。
昨年から周囲や当事者が人間関係や仕事のことなどを相談できる「支援ルーム」を設け専門の支援員を配置し、またこの10月からは部署を超えて当事者同士がつながりが持てるような交流研修会も始めたそうです。
こうした取り組みのなかで、2023年末までに「障害者1千人のまち」にすることを目標とし、民間企業に対して新規就労支援金制度を用意するなどの具体的な施策も打ち出されています。
個人的には、その目標人数が妥当かどうかというところまではわからない面もありますが、スローガンとしては秀逸で、何よりわかりやすいですね。
わかりやすいというのは非常に重要な要素で、目標は少しでも多くの方に浸透出来てこそ、実現に近づけられるのではないかと思いますので、そういう点において良い取り組みだと思いました。
そしてこのプロジェクトが今後どうなっていくのかがたいへん気になるところです。
そこで、過去に同じような取り組みをしている自治体の例はないかと思い調べてみたところ、なんと岡山県総社市が、11年前の平成23年4月から「障がい者雇用千人事業」と銘打って取り組んでいることがわかりました。
総社市の先行事例
総社市の人口は6万7千人程と規模としても福知山市に近いので、やはり1千人という目標が妥当だということが何となく見えてきます。
総社市がこのプロジェクトに至った経緯は以下の引用のとおりです。
“総社市は新設の県立支援学校誘致のため、市有地(約2万㎡)を無償提供予定をしていましたが、最終的には倉敷市に建設が決まりました。そこで、総社市は「支援学校を卒業した後の、働く場所は総社市が担う」という考えにシフトし、平成23年度から平成27年度までの5年間で、障がい者1000人を目指すという一大プロジェクトを実施することになりました。”
1000人という数字は、当時の総社市における就労年齢(18歳以上65歳未満)の障がい者数が約1200人だったことにより掲げられたとのことです。
実に8割以上の障がい者を雇用させようという高い目標だったのです。
そして驚くべきはその結果です。
取り組み当初では就労者は180人だったそうですが、なんと6年後には1003人を達成したというのです。
しかもその後も新たに「障がい者千五百人雇用推進条例」を定め、その目標に取り組んでいるというのですから、総社市の本気度が伝わってきます。
成功に至った要因についても紹介記事のなかで具体的な施策内容などいくつか触れられていますが、やはり市が自ら掲げた1000人という目標・スローガンを念頭に、広報紙やシンポジウム開催などで積極的に広報PR活動を継続的にされてきたことが実を結んでいるではないかと感じました。
まとめ
福知山市や総社市のように、自治体が明快なスローガンのもとに障がい者の就労支援を前面に打ち出していることは、障がい者にとって本当に心強いものだと思います。
全国の各自治体でも障がい者の雇用に向けた様々な施策は行われていると思うのですが、そのうえで今回の事例のように誰にでもわかりやすく伝える工夫というのが必要なのではないかと思います。
単なる数字遊びとしてのものではなく、まず市民に向けて誰もが市の取り組みを認識してもらうという意味においても、この「1千人」という数字PRは大きな意味があると思います。
地域在住ではない私にも響くスローガンでした。
今後、福知山市の取り組みがどのようになっていくのかにも注目していきたいと思います。
36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。
41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。
これからの目標・夢
障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと