コラム

アスペルガー症候群によるパニックの特徴5つ│特性との関連を解説

アスペルガー症候群とは、自閉症と類似したコミュニケーションやこだわりの特徴をもつ発達障害の1つです。

自閉症のうち、知的な面や言葉の発達に関する遅れがみられないものを指し、「自閉症スペクトラム障害」に含まれます。

アスペルガー症候群の特徴の1つに、「パニックになる」というものがあります。

思考が停止してしまったり、冷静でいられなくなったりするなどと、仕事や生活の面で困ることが多いでしょう。

パニックになるのは、アスペルガー症候群の方が抱える特性が原因になっている場合があります。

本記事では、アスペルガー症候群の人がパニックになる原因とその特徴について解説します。
原因を知り、適切な対処を取れるように準備をしておきましょう。

1.アスペルガー症候群でパニックが起きる原因は?

パニックを起こす原因としては、「想像の苦手さ」「感覚の敏感さ」という2つの特性が影響していると考えられます。

1-1 想像の苦手さ

アスペルガー症候群の人は、「目の前にないもの」を想像することが苦手な場合があります。

例えば、他人の感情や考えは形がなく目には見えません。

相手が何を考えているのか、どういう人なのかを直観的に読み取ることが苦手なので、「この人にはこういう対応をする」というパターンで対応しようとします。

しかし、対人関係は予定通り進むとは限りません。

相手の体調が悪いとき、虫の居所が悪いとき、忙しいとき…色んな条件があるので、想定外の反応が返ってくることもあるでしょう。
こういった場合に臨機応変に対応できず、パニックの原因になるのです。

1-2 感覚の敏感さ

アスペルガー症候群の特徴の1つに、「感覚が敏感または鈍感」といったものがあります。

特に聴覚や嗅覚、触覚などの五感の感覚が敏感であると、パニックを引き起こすことがあるでしょう。

例えば、聴覚過敏がある場合、職場で作業をしている際の話し声や環境音がうるさく感じられてしまいます。

また、同僚が上司に怒られている声を聞くと怖い気持ちでいっぱいになり、パニックになることもあるでしょう。

感覚の敏感さにより、その場にいることが大きなストレスとなり、パニックを引き起こしてしまうのです。

2.アスペルガー症候群による5つのパニックの特徴

想像力や感覚過敏性が原因となり起こるパニックですが、具体的にはどのような形で起こるのでしょうか。

起こりやすい5つの場面から解説します。

2-1 想定外の出来事に臨機応変に対応できない

想定外の出来事が起こり、臨機応変な対応ができずにパニックになってしまうケースがあります。

これから起きることは目に見えず、「○○が起きるはず」などと想像しながら対策する必要があります。

しかし、アスペルガー症候群の特性があると、こういった想像が苦手なことが多いでしょう。
そのため、「いつもと同じパターンで取り組む」「手順にこだわる」といったことで対処しようとするのです。

ただ、いつも同じパターンとは限らないので、想定外のことが起きるとどのように対応していいか分からず、パニックの原因になってしまいます。

周りの人に自分の特性を説明し、予定に変更があるときには事前に伝えてもらうようにお願いしておくことが大切です。

2-2   新しい場面でどう行動すればいいか分からない

慣れている作業であれば、やり方や手順が分かっているので取り組みやすいでしょう。
しかし、新しい仕事を行うような場面では、何から取り組めばいいか分からずパニックに陥ってしまうかもしれません。

作業手順や予定、見通しといったものは「目に見えないもの」であり、想像が必要になります。

スケジュールや手順を頭の中で思い浮かべるのではなく、文字にして整理しておくと一目で見えるようになり、理解しやすいでしょう。

そのため、新しい仕事に取り組む時には、事前に手順やスケジュールを聞いておき、紙に整理して書くといった対策が役立ちます。

2-3 過去の嫌な出来事を思い出して気持ちが収まらなくなる

過去にしてしまった失敗や傷ついた言動を思い出し、パニックになるというケースもあります。
これは、想像することが苦手という特性が逆に働いているといえます。

アスペルガー症候群の人は、「ないもの」を想像することが苦手な反面、「あるもの」はよく記憶し、理解できることが多いでしょう。
そのため、過去の記憶は細かいところまで覚えられます。

さらに、感覚過敏の特徴も合わさって、嫌な出来事のときに聞こえた言葉、目で見た相手の表情などを覚えてしまっているのです。

このようにして、過去の記憶がフラッシュバックしてしまうことが多いでしょう。

ストレスが溜まった状態では、フラッシュバックが起きやすいため、日頃からストレスをため込まないようにすることが大切です。

2-4 やるべきことが多いと頭がパンクしてしまう

アスペルガー症候群の特性ではありませんが、マルチタスクが苦手で、頭がいっぱいになりパニックになるという場合もあります。
できるだけマルチタスクは避け、計画を立てて1つずつこなしていく方がよいでしょう。

2-5 音や匂いなど嫌な感覚に圧倒されてしまう

感覚過敏の特性により、不快に感じる感覚を負担に感じてパニックになってしまうケースもあります。

感覚の過敏さとしては、次のような例が挙げられます。

  • 聴覚:他の人が気にならない小さな音が気になる、話し声で集中できない
  • 視覚:赤などの刺激色を見れない、目が疲れやすく体調が悪くなる
  • 嗅覚:タバコの匂いが気になる、匂いがこもる場所が苦手
  • 味覚:苦手な食べ物が多く偏食がち
  • 触覚:かゆみや違和感のある服、長時間座るのがしんどく感じる

上記のような感覚の過敏さが、仕事において大きなストレスになり、パニックを起こしてしまうのです。

感覚過敏が原因のパニックに対しては、視覚過敏であればブルーライトカットの眼鏡をかけるなど、刺激そのものを減らす工夫が必要でしょう。
さらに、感覚過敏があることを周囲に理解してもらい、別室や在宅勤務に変えてもらうなどの配慮を得ることも大切です。

また、体調や季節によっても感覚過敏の程度は左右されます。

日頃から体調を記録し、前兆を見逃さないように意識することで、感覚過敏によるストレスをうまくコントロールできるでしょう。
さらに、パニックになってしまったときにクールダウンできる場所を作っておくと、いざというときに安心です。

3.まとめ

アスペルガー症候群にみられるパニックには、想像の苦手さや感覚過敏、強いこだわりの特性が影響しているといえます。

ただ、パニックが起きる原因は個人差があるため、特性がどのように影響しているのかを整理することが必要でしょう。

仕事の中でパニックになりやすいという場合は、今回紹介した5つのポイントに似たことがないか振り返ってみることが大切です。
しかし、一人ではパニックの原因が何か、判断しにくいこともあるでしょう。

サスケ・アカデミーでは、就労体験を通して、自分の特性に合わせた仕事選びをサポートしています。

アスペルガー症候群の方や、仕事で上手く行かないというお悩みを抱えている方も、ぜひ一度ご相談ください。


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