コラム

身体障がい者の手帳とは?交付の対象や等級、手続き、取得のメリットを解説

「障害者手帳」とは、障害を持っていることを証明し、必要な公的サポートを受けるために必要なものです。税金の軽減や公共料金の減額、障害者雇用枠での就職など、さまざまなメリットがあります。しかし、次のような悩みを抱える方もおられるのではないでしょうか。

「手続きのやり方が複雑で難しい」
「自分の病気が交付の対象になるのか知りたい」
「取得にどんなメリットがあるのか分からない」

本記事では、身体の病気や疾患を抱える方に向けて、身体障害者手帳の制度について解説します。交付の対象となる疾患や等級の内容、必要な手続きについて具体的に説明していますので、申請の際の参考にしてください。

1.身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳とは、身体に障がいがある方の障害者手帳です。障害者手帳は、障がい者であることを証明するもので、福祉サービスの利用や障がい者雇用での就職活動時などに必要となります。
具体的には、どのような制度なのでしょうか。対象となる疾患や等級、申請方法について解説します。

1-1 対象:回復する可能性が少ない身体障がい
身体障害者手帳の交付対象になる障がいは、基本的には「永続」するものであることが条件となっています。永続する障がいとは、将来回復する可能性がきわめて少ないものを指します。

そのため、一過性の怪我や発症して日が浅いものは認められない場合があるでしょう。
具体的に、身体障害者手帳の交付対象として挙げられているのは、以下のような障害です。

  • 視覚障害(視力障害・視野障害)
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害(身体のバランスをうまく保てない)
  • 音声機能障害(声や発声にかかわる能力障害)
  • じん臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう又は直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

1-2 等級:1~7級までの等級に分けられている
身体障害者手帳は、障がいの程度により1~7級までの等級に分けられています。1~6級までが交付の対象とされており、7級は2つ以上の障がいがみられることが条件です。

障がいの種類によって、症状の目安が設定されています。例えば、視力障害は1級か6級まで、聴力障害は2級から5級までと、種類により設定されている等級が異なります。

具体的には、聴力障害で最も重い2級であれば、「両耳の聴力レベルがそれぞれ100db以上のもの」と決められています。100dbは補聴器を付けても周りの会話は全く聞こえないレベルです。生活上の支障がかなり大きそうですが、これでも聴力障害だけでは1級にはなりません。

聴覚障害の場合、2級レベルの症状に言語障害が合併すれば1級の認定が受けられることもあるでしょう。このように、複数の身体障害を合わせて総合的に等級を決定することが特徴です。

1-3 申請方法:お住まいの市区町村の窓口で申請
身体障害者手帳は、都道府県や指定都市、中核市が交付しますが、申請は現在住んでいる市区町村で受け付けています。申請の基本的な流れは以下の通りです。

  • 市区町村の障害福祉サービス窓口にて申請書類と診断書をもらう
  • 都道府県の指定医に診断書を書いてもらう
  • 申請書類と診断書を障害福祉サービス窓口に提出
  • 審査を経て1~4カ月ほどで手帳交付

申請にあたっては、以下のものが必要です。

  • 本人の写真(顔がはっきりと映っており、縦4×横3cmで1年以内に撮影されたもの)
  • マイナンバー(個人番号)がわかるもの
  • 免許証、保険証などの身元がわかるもの

2.身体障害者手帳を取得するメリットとは?

身体障がい者であることを証明する身体障害者手帳ですが、取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとしては、「経済的なサポート」と「就職」の2つが挙げられます。

2-1 経済的なサポート:医療費や税金、公共料金など多彩なコストに対する援助がある
身体障害者手帳を取得していることで、経済的な側面では多くのメリットがあります。具体的には以下のような点で費用が削減できます。

  • 障害年金の受給:手帳申請が必須ではないが、障がいにより年金が支給される場合がある
  • 医療費の助成:自己負担額の軽減や月額上限の設定などで費用が抑えられる
  • 税金の軽減:住民税や所得税、自動車税などの税金が減免される
  • 補装具の助成:杖や補聴器などの補装具の購入または修理にかかる費用が1割負担になる
  • リフォーム費用の助成:スロープや手すりなどのリフォーム費用が助成される
  • 公共交通機関の割引:電車やバスなどの利用料金が割引される

定期的な通院や、補装具やリフォーム工事など、障がいを抱えながら生きていくためにはお金もかかります。できるだけお金の心配をしなくて済むように、さまざまな助成制度が設けられています。

2-2 就職:障害者雇用枠での就職活動ができる
身体障害者手帳を取得することで、障害者雇用枠で就職活動を行えるというメリットがあります。

企業には、一定の割合で障がい者を雇用する義務があり、法定雇用率は2.3%と定められています。障がい者の中でも、身体障がい者の占める割合は最も多く、企業側からも求められているといえます。

身体障がい者の方は、一般採用枠で就職活動を行っても問題はありませんが、手帳取得により、障害者雇用枠での選択肢も広がります。また、障害をオープンにして就職できるため、必要な支援や配慮を受けて安心して働けるでしょう。

3.身体障害者手帳はサポートを受けやすくするツールの1つ

身体障害者手帳を取得することで、金銭的なメリットや就職の幅が広がることなど、社会的なサポートは広範囲にわたります。障がい者と扱われることに抵抗を感じる方もおられるかもしれませんが、得られるメリットは大きいといえるでしょう。

身体障害者手帳の交付後は、手帳をもとに適切な支援を受けることが大切です。特に、就職活動は迷うことも多く、一人で取り組むには大変かもしれません。

サスケ・アカデミーでは、身体障がいをお持ちの方の仕事探しや就職訓練をお手伝いしております。障がいや症状に合わせた方法を一緒に考えることもできますので、ぜひ一度ご相談ください。

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