コラム

眠れない症状はうつ病?睡眠障害とうつ病の関連性について解説!

眠れない症状はうつ病?睡眠障害とうつ病の関連性について解説!

「早く寝たいのになかなか寝付けない…」「熟睡できなかった…」などと、睡眠に関する悩みは誰もが一度は経験するものなのではないでしょうか。
現代ではありふれた不眠の症状ですが、うつ病との関連性が強く、注意が必要な場合があります。

今回は、不眠を始めとする睡眠障害とうつ病の関連について解説します。
うつ病につながりやすい睡眠障害の原因と改善方法を理解し、適切な対処を行いましょう。

1. 睡眠障害とは?

睡眠障害とは、不眠や過眠、睡眠リズムのずれなど睡眠に関連する様々な障害を指します。
アメリカ睡眠医学会による診断分類(ICSD-3)では、以下の7種類の睡眠障害に分類されるほど、症状は多岐にわたります。

不眠症: 寝入るまでに時間がかかる、早くに目が覚めるなど。
睡眠関連呼吸障害: 睡眠中に呼吸が止まるなどの異常(睡眠時無呼吸症候群)。
中枢性過眠症: 日中強い眠気に襲われる(ナルコレプシー、突発性過眠症など)。
概日リズム障害: 睡眠のリズムが損なわれる。
睡眠時随伴症: 睡眠時に叫ぶ、歩き出すなどの異常な行動が生じる。
睡眠関連運動障害: 足がムズムズして眠れない(レストレッグス症候群)。
その他の睡眠障害

参考:国立精神・神経医療研究センター「睡眠障害ガイドライン わが国における睡眠問題の現状」

睡眠に何らかの異常があり、眠れなかったり、過度に眠りすぎてしまうことで、日常生活に支障をきたしている状態が睡眠障害だといえます。

2. 睡眠障害による不眠の原因とは?

では、なぜ睡眠障害によって眠れなくなってしまうのでしょうか。
睡眠障害の中でポピュラーな不眠症の原因について解説します。

2-1 一過性のストレス
過度な仕事の負担、対人関係でのいざこざなどのストレスが原因となり、一時的に眠れなくなってしまうことがあります。
「ストレスに対処しなければならない」と身体が反応し、戦闘態勢に近い状態になるために起こる不眠症状です。
ストレスの原因がなくなると眠れるようになり、2~3日で改善することが多いでしょう。

2-2 「眠れないかもしれない」という不眠恐怖
不眠症状が続いてしまう原因の1つに、不眠恐怖があります。
一晩眠れない日があると、「今日も眠れないのではないか」「不眠でうまく仕事できない」などの恐怖感が生まれることがあるためです。
不眠恐怖によって、行動範囲が狭まることもあります。
「眠れないから、明日出かけるのはやめよう」「少しでも横になっておこう」と活動を制限すると、恐怖感がどんどん強化されていくのです。
このように不眠症は、一過性の不眠状態から不眠恐怖が生じて、眠れない状態が維持されるという経過を辿るケースが多いでしょう。

2-3 うつ病を始めとする精神疾患
多くの精神疾患では、不眠症を併発することがあります。
不眠や過眠を伴う精神疾患として代表的なのはうつ病です。
神経伝達物質であるセロトニンが低下することで、睡眠にも悪影響を及ぼすことが原因だと考えられています。
不眠のほかに、気分や意欲の低下、食欲の減退などの症状がみられる場合は、うつ病の可能性があるため、医療機関を受診することがお勧めです。

3. うつ病と睡眠障害の関係は?

うつ病と睡眠障害は密接に関係しているといわれていますが、具体的にはどのように関連しているのでしょうか。

3-1 うつ病患者の80%以上に不眠症状がみられる
うつ病患者のうち、84.7%に不眠症状がみられるというデータがあります。
特に、寝付くまでに時間がかかる「入眠困難」がうつ病との関連が強いことが分かっています。
また、過去に不眠を経験した人は、そうでない人に比べて、うつ病を発症するリスクが2倍であることが研究で示されています。
不眠症状とうつ病は密接に関係しており、うつ病を疑うサインの一つであるといえるでしょう。

3-2 再発のサインになることがある
うつ病が改善した人の中でも、50%程度は不眠症状が残ってしまうといわれています。
そして、過去にうつ病にかかったことのある人のうち、睡眠障害がある人は、ない人よりも4.8倍再発しやすいことが研究で示されています。
不眠症状は、うつ病の症状としてではなく、再発を予測するサインとしても関連性が深いといえるでしょう。

参考:日本うつ病学会「治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016」
参考:渡辺範雄「うつ病に対する不眠精神療法の臨床的有効性」

4. 睡眠障害の対処方法は?

睡眠障害の中でも、特に不眠はうつ病にも関連し、発症や再発のリスクにもなりえます。
では、睡眠の問題にはどのように対処するのが良いのでしょうか。
日常生活でできる対処法を中心に紹介します。

4-1 十分に眠気がきてから就寝する
睡眠は、十分に眠気が来てから就寝する方がよいでしょう。
眠くないまま寝床につくと、「寝床=眠れない場所」という認識になってしまうからです。
人間の睡眠リズムは基本的には一定しており、時間がくれば眠くなるようなリズムになっています。
そのため、「疲れたら寝る」というシンプルな心がけが大切だといえるでしょう。

4-2 自分に最適な睡眠時間を知る
適切な睡眠時間を把握し、調整することも大切です。
必要以上の睡眠を取ろうとすると、睡眠の質が下がったり、途中で目が覚めたりと熟睡感が得られないことが多いのです。
具体的には、寝床にいる時間と実際に眠っている時間を記録し、実際の睡眠時間に合わせて寝床に入るようにすると良いでしょう。

4-3 医療機関を受診する
背景に精神疾患や、睡眠に関連する呼吸障害、運動障害がみられる場合は、医療機関を受診する必要があります。
特に、睡眠時無呼吸症候群やレストレッグス症候群などの睡眠障害の診断には、専門機関での検査が必要です。
日常生活上の工夫で解決しない場合は、医療機関を受診し、適切な診断を受けてお薬を服用しながら不眠を改善していく必要があるでしょう。

5. まとめ

不眠の症状は、誰もが経験する可能性のある身近な悩みです。
しかし、背景にはうつ病などの治療が必要な精神疾患が隠れている場合もあり、見過ごすと症状が進行してしまうことがあるでしょう。
眠れない日が続く場合、その他に気になる症状はないか一度考えてみることがお勧めです。
気持ちよく眠るためには、日中の活動を積極的に行うことが大切です。

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