自己理解を深めて「出来る」に気付く。「自分のトリセツ」をつくってみよう
発達障害は、生まれつき発達の凸凹に特徴があると言われています。
どんな人でも得意なこと、不得意なことはありますよね。
しかし、発達障害の凸凹は「これが出来るなら、これも出来るだろう」という一般的な慣習や考えとの違いから、日常生活や社会生活に支障が出てくるのが特徴です。
幼い頃から違和感を感じたまま社会に出て、困り感をごまかせなくなり発達障害の診断を受けた、という方も多くいらっしゃいます。
そんな時に活用したいのが「自分のトリセツ」=「ナビゲーションブック」です。
自分の特徴を客観的に知ることで、向いている作業や仕事に気づくことが出来ます。
また、誰かに「自分を知ってもらいたい」という時も、「自分のトリセツ」は便利です。
「自分のトリセツ」って?
「自分のトリセツ」は、自身の特徴を記載して作成するシートです。
決まった書式はなく、本人が目的に合わせて自由に作ることができます。
盛り込む内容は「何のために」「いつ、誰に見せたいか」によって変わってきます。
参考:
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「発達障害者のワークシステム・サポートプログラム ナビゲーションブックの作成と活用」
自己理解「ジョハリの窓から」から
例えば「自分はどんな仕事に向いてるんだろう?」と知りたい時。
ぜひ記載してみて欲しいのは、次のような項目です。
◆作業面の得意・不得意
・どんな作業が好き?苦手?
・どんな指示だと理解できる?
・報告、相談はできる?
◆コミュニケーションの得意・不得意
・挨拶は返事はできる?
・相手の言葉や気持ちを理解することは得意?苦手?
・言葉使いは適切?
◆考え方の特徴
・ストレスや不安を感じた時、どうしてる?
・楽しい時、時間を忘れるほど没頭する時はどんな時?
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発達障害の主な特徴
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参考として、発達障害の診断名別の主な特徴は次の通りです。
得意 | 不得意 | |
ASD(自閉症スペクトラム症) | ・関心のあることには時間を忘れるほど集中できる
・細かい部分を見る作業 ・感覚が敏感(もしくは鈍感) ・見通しが見える作業やゴールが明確な作業 |
・相手の気持ちを汲み取る
・急な変更や変化・頭の中で優先順位をつける ・全体を見ることや計画を立てる |
ADHD | ・瞬発力がある
・思いついたらすぐ行動、すぐ話す ・よく気がつく・発想が豊か |
・細かな確認作業
・じっとしている ・バランスよく気を配る ・物の管理や整理整頓 |
LD | ・音声を聞いての理解(パソコンに打ち込むなど) | ・読み書き
・計算 |
ここに挙げたのは発達障害の特性の一部です。
注意したいのは、特徴に当てはまるからといって必ず診断に至る訳ではない、ということです。
特徴の濃淡は一人ひとり異なりますし、周囲の環境によっても変わってきます。
また、ASD、ADHD、LDの特徴が重なっているケースもあります。
診断名=その人の全て、ではありません。
あくまで自分自身の理解を深めるための一面として、参考にしてみてください。
苦手なことは得意なこと?
「苦手なことは何個も思いつくのに、得意なことが見つからない」という方は、ぜひその「苦手なこと」に注目してみてください。
苦手は得意の裏返し。コインの表と裏のように、必ず対になっているのです。
先ほどの特徴も良くみてみると、得意と不得意が対になっているのが分かります。
例えば…
「全体を見ることが苦手」→「細かい部分を見ることが得意」
「じっとしているのが苦手」→「瞬発力がある」「思いついたらすぐに行動できる」
「読み書きが苦手」→「聞いて理解するのが得意」
こういった考え方を「リフレーミング」と言います。
視点を変えてみることによって、自身の弱みを強みに変えることができるのです。
「こうしたら出来る」を考えてみる
シートを記載していくうちに、「こういう環境だったら、自分の力を発揮できる」「こういうものがあれば、作業がしやすい」と思いつくこともあるでしょう。
例えば、周囲の声が気になって作業に集中できない時。
「指示が聞こえる程度で防音ができる耳栓が使えたらいいな」と思いついて就業先に相談し、使用の許可を得たというケースがあります。
このように企業や事業者と本人の間で調整を行うことを、合理的配慮と言います。
合理的配慮は、事業者と本人とのすり合わせが大切です。
一方的に「できない」と拒否をしたり、「こうしてくれ」と押し付けたりすることは、合理的配慮ではありません。
特に働く環境によっては調整が難しかったり、配慮が過剰になってしまったりするケースがあります。
まずは自分の力を発揮するためにはどんな工夫が必要か、自分なりのアイデアをシートに書いてみましょう。
そのアイデアがどうしたら実現できるか、支援員の方や上司にぜひ相談してみてください。
「自分のトリセツ」を活用してみよう
出来上がったシートをみると、「できること」が沢山あることに気づけるはずです。
また、自分の特徴を知ることによって、苦手なことへの対処法も考えることができます。
ぜひ自己理解のアイテムとして、ナビゲーションブックを活用してみてください。
サスケ・アカデミーでは自分の特徴や強みの見つけ方の支援やサポートをいたします。
ご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。
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