コラム

障がいを笑いに変える力

皆さん、もう今年も残りあとわずかになりましたが、この時期と言えば何を思い浮かべるでしょうか?

私が毎回楽しみにしているもののひとつに、M-1グランプリがあります。

昨年は苦労人の錦鯉が悲願の優勝をされて感動しましたが、今年はどんなコンビが頂点に立つのか今から楽しみです。

ウェブサイトからは予選での動画なども観れますが、1回戦~2回戦~3回戦~準々決勝~準決勝~敗者復活~決勝と、なかなか栄冠をつかむまでは大変な世界ですね。

そして今回、こちらの準々決勝の動画の中から、ひと際目につくコンビを見つけました。

それは『ブレード・ランナー』です!!

といってもあまり聞いたことがない方も多いのではないでしょうか(笑)

準々決勝となるとテレビで見聞きする常連の芸人さんばかりですが、さすがに私もこのコンビは存じ上げませんでした。

ではなぜ目に止まったのかというと、コンビの向かって左側にいる車太郎さんが車いすのお姿だったからです。

障がいを持たれていてお笑い芸人として活躍されている方でパッと頭に浮かぶのは、R-1ぐらんぷり2018を獲得された濱田祐太郎さんですね。

生まれつき目が見えないことを逆手にとって、ご自身のエピソードで障がいを笑いに転換させる発想にはほんとうに感心させられ、また勇気づけられました。

ブレード・ランナーの漫才もきっと障がいを武器とした笑いがあるのだろうと思い、さっそくウェブサイト内の準々決勝動画を観てみました。
すると、期待に違わずやはり車太郎さんが次から次へと車いすネタでの鋭いボケを連発していました。

特に笑ったのが、アルプスの少女ハイジに出てくるクララは、「ビジネス車いす」だと言い切るところや、話の流れで相方の小澤優人さんに向かって怒る場面で、「ガタガタ言ってると、車輪舐めさせすぞ」といい、小澤さんの「ふつうは舐めさせるのは靴だろ」の突っ込みに、「(俺の)靴は汚れてねえだろ」と返すくだりなどです。

お客さんの反応もよく、こうした車いすネタで痛快に笑いを取るこのお二人はほんとうにカッコいいと思いました。

障がいを笑いのネタにすることについては賛否があるかもしれませんが、聞こえてくる会場内の笑い声からは、そのような憚られる雰囲気は微塵も感じられませんでした。

それはひとえに車太郎さんの力量であり、また当事者である立場からそれを発信することによって、観客側が遠慮せず笑えるような環境を自然と作り上げているからだと思います。

まさに、お笑いのバリアフリーがそこにありました。

今回は残念ながら準決勝まではすすめませんでしたが、『ブレード・ランナー』がいつか決勝の舞台に立って、全国の皆さんを車いすネタで大いに楽しませてほしいと願っています。

私も同じ車いすの仲間の一人として影ながら応援していきたいと思います。

ちなみに、車太郎さんはYOUTUBEもされているようですので、興味のある方は車太郎officialをのぞいてみてください。

 
就労移行支援 サスケ・アカデミー本部  本部広報/職業指導員
三浦秀章
HIDEAKI MIURA
36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。
41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。

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