コラム

特例子会社とは?障がい者雇用促進のための制度について解説!

障がい者の雇用に力を入れている企業の求人で、「特例子会社」という言葉を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

特例子会社制度は、障がい者の雇用を促進するための制度です。障がい者の雇用を進めたい会社にとっても、実際に働く障がい者にとってもメリットのある制度として注目を集めています。実際には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

今回は、特例子会社の制度や、採用や就労における障がい者のメリットについて解説します。制度を正しく理解し、有益な職場を探せるような内容となっておりますので、ぜひ参考にしてください。

1.特例子会社とは?

企業や障がい者双方にメリットがある特例子会社制度ですが、どのようなものなのでしょうか。

1-1 障がい者の雇用促進を目的とした制度
特例子会社制度は、平成14年10月より開始された障がい者の雇用促進を目的とした制度です。従業員数が一定以上の企業や団体では、一定の割合の障がい者を雇用することが義務付けられています。雇用の義務を表すのが障害者雇用率であり、民間企業は2.3%の雇用が必要です(一部の特殊法人は2.6%)。

決められた障害者雇用率を満たさない場合、ハローワークから行政指導が行われます。また、常時雇用している従業員が100名を超える企業では、不足分の1人あたり月5万円の納付金を払う必要があります。そのため、企業にとっては、障がい者の雇用は経営に直結する課題ともいえるのです。

特例子会社制度は、特定の条件を満たした子会社で働く障がい者を、親会社の障害者雇用率として合算できる仕組みです。例えば、親会社だけでは雇用率に満たない場合でも、子会社に障がい者を多く採用すれば、雇用率を満たせます。

そのため、企業にとっては法定雇用率を満たしやすくなるといったメリットがある制度なのです。

1-2 全国の特例子会社は579社で精神障がい者の採用が近年増加傾向にある
令和4年6月1日現在で特例子会社に認定されている企業は579社であり、雇用されている障がい者は43,857.0人とされています。雇用されている障がい者の内訳は以下の通りです。

  • 身体障がい者:11835.5人
  • 知的障がい者:22941.0人
  • 精神障がい者: 9080.5人

発達障害を含む精神障がい者の割合が少ない傾向にありますが、近年その割合は増加傾向にあります。採用する企業側も、雇用する障がい者が多様化しているといえるでしょう。

参考:厚生労働省「令和4年障害者雇用状況の集計結果」

1-3 業種はサービス業が過半数を占める
高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、特例子会社に認定されている上位3業種は、以下の通りサービス業が過半数を占めています。

  • サービス業:51.0%
  • 製造業  :26.3%
  • 情報通信業:5.2%

過半数を占めるサービス業として、「清掃・ビルメンテナンス」が25.2%と全体の4分の1を占めています。
また、特例子会社で障がい者が従事する職種は以下のような割合となっています。

  • 事務       :59.3%
  • 運搬・清掃・包装等:54.1%
  • 生産工程     :30.9%

特例子会社での仕事としては、事務や清掃、工場の生産ラインでの業務など定型化されたものが多いといえます。厚生労働省のホームページで特例子会社の一覧が確認できますので、気になる企業があるか探してみましょう。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者職域拡大等調査報告書」
参考:厚生労働省「特例子会社一覧」

2.特例子会社で働くメリットとは?

障がい者の雇用を促進する特例子会社制度ですが、障がい者にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

2-1 大手企業が多く雇用が安定している
特例子会社を創設する親会社は、比較的大手の企業が多いため、安定した雇用が見込めるでしょう。厚生労働省が公開している特例子会社の一覧でも、「株式会社リクルートホールディングス」「株式会社小学館」など大手企業が多くあります。

障害者雇用枠での採用ながらも、大手企業のグループで働けるため、安定した雇用環境の中で働ける点が特例子会社制度のメリットです。

2-2 障がいに合わせた配慮を受けやすい
特例子会社の従業員は障がい者の割合が高いため、障がいの特性について理解が深い上司が多いでしょう。一部の特例子会社では、障がい者の特性について、職場に情報を伝えるジョブコーチが配置されていることもあります。

そのため、障がいの特性により生じる、業務の得意不得意やストレスのかかりやすさについて配慮をしてもらえやすい環境だといえるでしょう。

2-3 柔軟な働き方ができる
特例子会社では、障がい者が働きやすい勤務体系の制度が整えられていることが多いでしょう。そのため、短時間勤務や在宅勤務などの柔軟な働き方をしやすいのです。

一般企業の障害者雇用枠であれば、短時間勤務であると契約社員であることが多いですが、特例子会社では正社員での雇用が見込まれる場合があります。

また、精神障がいであれば定期的な通院が必要ですが、一部の企業では通院のための特別休暇を設けているところもあります。

障がいを持ちながら働く場合には、長時間かつ出社しての勤務からスタートするのは負担が大きいこともあるでしょう。自分の体調に合わせて働き方を柔軟に変えられる点が大きなメリットです。

3.まとめ

特例子会社で働くことは、障がいに合わせた配慮を受けやすく、安定して働けるなどさまざまなメリットがあります。企業ごとに設けている制度や配慮の内容は異なりますので、ハローワークや地域障害者相談センターなどで相談してみましょう。

サスケ・アカデミーでは、一般就労を目指す方に向けて、作業や訓練を通して自分の適正に合った職場への就職をサポートしています。「自分の特性を知りたい」「働く上でどのようなことに気を付ければいいか分からない」といった悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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