コラム

ストレスの対処法とは?バランスの良い5つの解消方法を解説

働く上ではストレスを避けることは難しく、ストレスに関する悩みは尽きません。しかし、ストレス解消法は世の中に数多くあれど、次のような悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

「ストレス解消したいけど、趣味がなく何をしていいのか分からない」
「ストレスの原因を解決したいけど、自分には解決できない」

こういった悩みを抱えている場合、ストレス解消法が1つの方法に偏っているのかもしれません。精神的に健康な状態でいるためには、バランスよくストレス解消法を身に付けることが大切です。

本記事では、ストレスによって起こる3つの症状と、5つの対処方法を解説します。自分に合ったストレス解消法を見つけてみましょう。

1.ストレスとは?

ストレスとは、「何らかの外的な刺激により引き起こされる心身の変化」を指す状態です。不安やイライラ感などのストレスが引き起こす変化をストレス反応と呼び、ストレス反応を起こす外的な刺激をストレッサーといいます。

例えば、「上司に理不尽な怒られ方をして落ち込む」という場合は、上司からの叱責がストレッサー、落ち込みがストレス反応です。

一般的に「ストレスを感じる」と一括りにされる状態は、ストレッサーとストレス反応という2つの要素に分けられるのです。

2.ストレスで起きる3つの症状

ストレスに対処するためには、まずストレスによる緊張状態への気づきが第一歩になるといえます。ストレッサーが引き起こすストレス反応には、どのような種類があるのでしょうか。

ストレス反応は大きく分けて、心理面、身体面、行動面の3つの反応がみられます。3つのストレス反応について詳しく解説します。

2-1 心理面:不安やイライラ感、無気力
心理面の変化として最も多くみられるものが、不安やイライラ感です。ストレッサーという脅威に立ち向かうため、身体が警戒して不安やイライラが生じやすくなるのです。また、落ち込みや悲しみといった気持ちの変化もみられるでしょう。

さらに、ストレス状態が慢性化すると、無気力になりエネルギーが低下してしまうこともあります。

2-2 身体面:頭痛やめまい、消化機能の異常
ストレスを受けると、交感神経の高まりに伴い、心拍数の増加や筋肉の緊張、発汗といった身体面の変化がみられます。

身体面の変化は、短期的には程よい緊張状態を作り出し、パフォーマンスを向上させます。しかし、慢性化すると、頭痛やめまい、消化機能の異常などの様々な身体症状を引き起こしてしまうでしょう。

2-3 行動面:集中力低下や不眠、飲酒量の増加
行動面の変化としては、集中力が低下し、仕事や生活に支障をきたしやすいでしょう。興奮した状態が持続し、「身体は疲れているはずなのに眠れない」というように不眠になってしまうことも少なくありません。

さらに、慢性化したストレスを解消するために、飲酒や喫煙などの不健康な行動が増加してしまうこともあります。依存症や身体疾患のリスクを高める可能性があるため、ストレス解消方法の見直しが必要になるでしょう。

3.ストレスへの対処方法を考える5つの視点

ストレス反応は、原因であるストレッサーを取り除くことで軽減されます。しかし、ストレッサー自体の除去が困難な場合も少なくありません。ストレッサーから受ける刺激を適度なものにしていくにはどのような対処法が考えられるのでしょうか。

ストレッサーに対して、意識的に対処することを「ストレスコーピング」と呼びます。ストレスコーピングには数多くの種類が存在しますが、次の5つに分けられます。

  • 問題焦点型コーピング:問題自体を解決する
  • 情動焦点型コーピング:気持ちに焦点を当てる
  • 認知的再評価型コーピング:別の捉え方を検討する
  • 社会的支援探索型コーピング:誰かにサポートを求める
  • 気晴らし型コーピング:気分転換のために趣味活動をする

5つの視点から、適切なコーピング手段を身に付けることが大切です。それぞれの特徴について解説します。

参考:坪井康次(2010)「ストレスコーピング—自分でできるストレスマネジメント—」心身健康科学第6巻2号

3-1 問題焦点型コーピング:問題自体を解決する

ストレッサー自体を、自分の努力や周囲の協力によって解決しようとする対処方法です。例えば、次のような例が挙げられます。

  • 上司の指示が分かりにくいので、具体的に説明してもらう
  • 営業成績が伸び悩んでいるので、売り上げを取れる作戦を考える
  • 業務量が多いので、同僚にお願いして助けてもらう

問題を直接解決できれば、ストレス解消の効果は大きいでしょう。しかし、解決が難しい場合、問題焦点型コーピングだけだと行き詰ってしまいます。そのため、他のコーピング手段もバランスよく活用できるようにしておくことが大切です。

3-2 情動焦点型コーピング:気持ちに焦点を当てる

情動焦点型コーピングは、ストレッサーから生じた感情を発散することによって、ストレスを緩和する方法です。例えば、次のような例が挙げられます。

  • 友人に愚痴を聞いてもらう
  • 不満や怒りなど抑えられない感情を日記に書く
  • カウンセリングなど専門的なサービスを受ける

「誰かに聞いてもらう」といった相手が必要な場合が多いですが、一人で発散する方法もあります。「病気になってしまった」など、問題が大きく自力で解決が難しい場合に有効なコーピングだといえます。

3-3 認知的再評価型コーピング:別の捉え方を検討する

直面している問題に対する捉え方を変え、現状に適応することを目指す方法です。具体的には以下のように考え方を切り替えると有効でしょう。

  • 同じ悩みを友達が相談して来た時にかける言葉を探す
  • 出来事の悪い面と良い面を考える
  • 失敗から学べることがあると考えてみる

別の考え方ができるようになれば、ネガティブな感情も変化する可能性があります。1人で考えると、偏った考え方になる場合があるので、誰かに聞いてもらうことも重要です。

3-4 社会的支援探索型コーピング:誰かにサポートを求める

上司や同僚、家族、友人など、周囲に問題解決のアドバイスやサポートを求める対処方法です。以下のような行動が挙げられます。

  • 業務の進め方について上司や同僚に相談する
  • 悲しい気持ちを友人に聞いてもらい慰めてもらう
  • 福祉的なサービスを利用する

アドバイスを求めて問題焦点型コーピングに繋がる場合と、慰めや労いを求めて情動焦点型コーピングに繋がる場合があります。社会的支援探索型コーピングを行うためには、周囲との親密な関係を築いておくことが大切です。

3-5 気晴らし型コーピング:気分転換のために趣味活動をする

気分転換のために、カラオケや運動などの趣味活動を行ったり、温泉に行きリフレッシュしたりするなど、特定の行動で気分を変える対処方法です。いわゆる「ストレス解消」と呼ばれる方法であり、具体的には次のようなものが挙げられるでしょう。

  • どこかへ行く:神社、温泉、買物、散歩など
  • 趣味に没頭する:絵を描く、編み物、漫画を読むなど
  • リラックスする:ヨガ、マインドフルネス、呼吸に注意を向ける

4.まとめ

ストレスへの対処法を考える際には、コーピングのバランスとレパートリーが重要です。例えば、気晴らし型コーピングに偏りすぎていると、趣味に飽きた時や何らかの理由で外出が難しい場合、適切な対処が取れなくなります。

普段用いているコーピングの種類や効果について、自分で気づくことがストレス対処への第一歩だといえます。そして、今回ご紹介した5つのコーピング方法を参考に、自分なりのストレスへの対処法を増やしていきましょう。

ストレス対処法を身に付けるには、一人では効果的なやり方を見つけられないことも多いといえます。サスケ・アカデミーでは、就職に向けてメンタルヘルスを学ぶプログラムを行っています。ぜひ一度ご相談下さい。

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