コラム

障がい者の新たな働き方:未来のテレワーク


今回は、2023年5月にリニューアルオープンした分身ロボットカフェDAWN ver.βの記事について取り上げ、障がい者の新しい働き方について考えてみたいと思います。

日本経済新聞:分身ロボットで障害者リモートワーク 寝たきり接客も(2023年6月12日記事より)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC084HS0Y3A600C2000000/


ここで登場する分身ロポット「オリヒメ」については、よくメディアでも取り上げられるのですでにご存じの方も多いかと思います。
非常に見た目が愛らしく、一度見たら忘れないロボットですよね。
最近では各自治体でも障がい者の社会参加・就労の支援であったり、入院中の子供のためのコミュニケーションツールとして導入されたりと、様々なフィールドで見聞きしますが、その存在がまず世に知られるようになったのは、この分身ロボットカフェの実験的な取り組みからではないでしょうか。

“寝たきりでも働けます――。体に障害を持つ人がリモート勤務できるカフェが東京・日本橋にある。パソコンなどで遠隔操作できるロボットを使い、障害者や家族の介護などで家を離れられない外出困難者がリモートで「接客」する“

まず、このカフェが提供する分身ロボットシステムは非常に興味深いものです。
ロボットを通じて接客を行うことで、身体的な制約がある人々が外出することなく働ける環境を提供しています。
ここで紹介されている脊髄性筋萎縮症(SMA)を患う三好史子さんのように、日常生活で介助が必要な状況の人でも働くことができるという新たな可能性を切り開いています。
以前の彼女のように、自宅で内職をする中で社会とのつながりを感じられなかった人が、多くの人と交流することによって「居場所ができた」と感じ、前向きになることができるのは本当に素晴らしいことです。

また、このカフェでは三好さんの他にも、さまざまな障がいを抱える人々も活躍しています。
ロボットを操作する人のことをパイロットと呼ぶそうですが、パイロットのそれぞれの能力や状況に合わせて仕事を行っています。
例えば、体を動かせない人々は視線入力装置を使用してパソコンを操作し、仕事に取り組んでいます。
このような個々のニーズに合わせた柔軟な働き方が可能な環境が整っていることは、障がい者雇用の促進において重要な要素です。

近年、障がい者をテレワークで雇用する事例も増えてきていますが、一定のPCスキルがなければ難しい職種が多いのも事実です。
そういったなかで、分身ロポットカフェは新しいテレワーク雇用としての可能性を感じさせてくれます。

“このカフェの名前は「分身ロボットカフェ DAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)」。企業目標に「コミュニケーションテクノロジーで人類の孤独を解消する」ことを掲げるオリィ研究所(東京・中央)が運営する。”

この素晴らしい取り組みには、「コミュニケーションテクノロジーで人類の孤独を解消する」という企業理念を掲げているオリィ研究所が大きく関わっています。
自身も引きこもりの経験をもつというオリィ研究所代表の吉藤健太朗さんをはじめとする研究者の方々の情熱と努力によって、分身ロボットカフェDAWN ver.βが実現したのです。
彼らの取り組みは、障がい者にとってだけでなく、社会全体にとっても希望をもたらしていると感じます。
今後は、このカフェに留まらず、様々な雇用機会で分身ロポットが活躍する社会が実現してほしいと思います。
働くことをあきらめていた人が自分の能力を最大限に発揮し、自立した働き方を実現する姿を想像するだけで、心が温かくなります。

“様々な障害を抱えていても、ロボットを通じて自己実現しているパイロットたちのようなモデルケースが増えれば、障害者雇用の可能性は広がっていくはずだ。パイロットの三好さんは言う。「同じように障害を持って悩む人たちに、いろんな可能性があることを知ってほしい」”

もちろん、この技術の普及にはさまざまな課題や調整が必要でしょう。
安全性やプライバシーへの懸念、適切なトレーニングやサポート体制の構築など、解決すべき課題はたくさんあります。
しかし、これらの課題にも対応しながら、分身ロボット「オリヒメ」が障がいを持ち悩んでいる人々への希望となり、未来のテレワークとして新たな光をもたらしてくれると信じています。

就労移行支援 サスケ・アカデミー本部
本部広報/職業指導員
三浦秀章
HIDEAKI MIURA

36歳の冬、先天性の脊髄動静脈奇形を発症。 リスクの高い手術に挑むが最終的に完全な 歩行困難となり、障がい者手帳2級を取得。当時関東に赴任していた会社を辞め、地元の愛媛新居浜に戻り、自暴自棄の日々を過ごす。

41歳の冬、奇跡的にサスケ工房設立を知り福祉サービス利用者として8年半、鉄骨図面チェックの仕事に従事する。 50歳で一念発起しサスケグループ社員となる。

これからの目標・夢

障がいで困っている人の就職のお役に立ち、一人でも多くの仲間を増やすこと。

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